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GUIDE / 01

多要素認証と条件付きアクセスを段階導入する

管理者の締め出しを避けながら、Microsoft 365へのアクセスに多要素認証を要求する基本手順です。

更新日
2026-08-01
作業目安
約60〜90分+利用者登録

なぜ、先にこれをやるのか

Microsoft 365への不正アクセスの多くは、特殊な攻撃ではなく、どこかで漏れたIDとパスワードをそのまま試されて成立します。パスワードを複雑にしても、漏れてしまえば意味がありません。要素をもう一つ足すこと、これが最も費用対効果の高い一手です。追加の製品を買う必要はありません。

この手順を終えると、どうなるか

Microsoft 365にアクセスする全社員へ、多要素認証を要求している状態になります。ただし、いきなり全員に強制はしません。緊急用の管理者アカウントを用意し、少人数で試し、レポート専用モードで影響を見る。この順番を守ることが、この手順の本体です。

条件付きアクセスで難しいのは、設定を作る作業ではありません。誰を対象外にするか、利用者にどう案内するか、スマートフォンを持たない社員をどうするか。決めるべきはこの3つです。

前提条件

項目 確認内容
ライセンス 対象利用者にMicrosoft Entra ID P1を含むライセンス。Business Premiumには含まれます
管理権限 条件付きアクセス管理者、または必要な作業権限を持つ管理者
緊急用アカウント 通常業務で使用しないクラウド専用管理者を2つ準備
試験グループ 管理部門と現場担当を含む3〜5名
認証方法 Microsoft Authenticator、FIDO2キー等の利用方針

1. 現在の設定を記録する

  1. Microsoft Entra管理センターを開きます。
  2. 保護 > 条件付きアクセス > ポリシーを確認します。
  3. 既存ポリシーの名称、状態、対象、除外、許可制御を記録します。
  4. セキュリティの既定値群を使用中か確認します。

ここを飛ばして新しいポリシーを追加すると、同じ利用者に複数の条件が重なり、後から原因が追えなくなります。面倒でも、変更前の画面と設定値を必ず残してください。

2. 緊急用管理者を準備する

  • 通常の管理作業には使わない
  • 他の管理者と同じスマートフォンだけに依存させない
  • 利用を監視し、使用時は理由を記録する
  • 条件付きアクセスポリシーから明示的に除外する

このアカウントは、全員が締め出されたときの最後の鍵です。ポリシーから除外する代わりに、長く固有のパスワードと、金庫に相当する保管場所を用意してください。除外することと、守りを緩めることは別です。

3. 試験用ポリシーを作成する

  1. 保護 > 条件付きアクセス > ポリシー > 新しいポリシーを開きます。
  2. 名前を CA-001-Require-MFA-AllResources-Pilot とします。
  3. 対象に試験グループを指定します。
  4. 除外に緊急用管理者アカウントを指定します。
  5. ターゲットリソースはすべてのリソースを基本とします。
  6. 許可制御で多要素認証を要求するを選択します。
  7. ポリシーの状態をレポート専用にして保存します。

4. 影響を確認する

試験利用者に通常どおり仕事をしてもらい、次を確認します。

  • Outlook、Teams、OneDriveへアクセスできる
  • スマートフォン交換時の再登録手順が分かる
  • 現場で電波が弱い場合でも認証可能か
  • 共有アカウントや複合機が対象に混ざっていないか
  • サインインログ上で期待したポリシーが評価されているか

問題がなければ試験グループで有効化し、その後は部門単位で広げます。一度に全社へ広げないでください。問い合わせが集中し、現場が止まります。

5. 完了確認

  • 緊急用管理者でサインインできる
  • 試験利用者全員が認証方法を登録した
  • サインインログで成功・失敗理由を確認した
  • 問い合わせ先を社員へ通知した
  • 対象と除外を設計書へ記録した

うまくいかなかったときの戻し方

不具合が出たとき、ポリシーは削除せずレポート専用へ戻してください。削除すると原因調査に必要な設定が失われます。締め出しが発生した場合は、除外済みの緊急用管理者で状態を変更します。

公式情報

AFTER THE GUIDE

この手順、自社で進めますか。
それとも任せますか。

ここまで読んで手が止まったなら、多くの場合は「除外の設計」と「登録できない社員への対応」で止まっています。設定作業そのものより、この2つの判断に時間がかかります。

365情シス部は、専任のIT担当者を置けない中小企業の情報システム部門を代理でつとめます。ご相談は無料です。その場で契約を迫ることはありません。「これは自社でできます」とお答えする場合もあります。